薄桃色にこんがらがって 感想

アルストロメリアなんだよなぁ!!

幸福感覚☆幸福感覚☆ひぃん!ひぃん!ひぃん!ひぃん!

 

 

ということでシャニマスのイベントシナリオ「薄桃色にこんがらがって」を読んだ感想を。

 

 

過去の影がさす千雪

 

今回のコミュのメインは桑山千雪。

ある日甘奈の元に舞い込んできた、雑誌「アプリコット」のオーディション。

実はその「アプリコット」は、千雪にとってとても思い入れのある雑誌だったのである。

自分の好きな雑誌のモデルに大切な仲間である甘奈が選ばれそうなことへの喜びと嫉妬が入り混じり千雪は悩む。

 

と言った導入になっている。

 

この「アプリコット」はもちろん今回初登場の雑誌である。

しかし、千雪が過去のアプリコットを見返すシーンではこんな特集が出てくる。

『絵本の中のピクニックをやってみない?』

『遅く起きた朝のためのラジオ”トーキングトースト”にtune!』

 

実はこれ、1年前のピクニックコミュの報酬であった「トキメキタコさん」で千雪の口から既に登場していたものである。

 

今まで出てきていた小物も、服も、何もかもが「アプリコット」の影響だったことが語られる。

 

「千雪にとって思い入れのある雑誌」という文脈を、過去のコミュを使って回収していくシャニマスは本当に恐ろしいと感じた。

 

何もできない甜花

今回のコミュにおいて、甜花は第三者の立場である。

こう言ったキャラ間でトラブルが起きるシナリオでは『第三者が間に入って手助けすることで解決する』という展開もままあることなのだが、甜花にはそれができなかった。

今までやることなすことを甘奈達に任せていた甜花にとってそれは難しいことであった。

 

しかし、甜花は今までのように匙を投げず、せめて甘奈に気持ちよくオーディションに合格してもらえるように「自分の観覧チケットをオーディション対策の先生に使ってもらいチェックしてもらう」ことを決断した。

自分だってほんとは甘奈の努力してきた結果を見たいだろうにそのような決断ができるというのは『アルストロメリアなんか一番大事じゃない』からであろう。

甜花も着実に成長しているのが印象に残った。

 

 

逃げる甘奈

時は進み、千雪がアプリコットのオーディションを受けることを決意する。

千雪から直接そのことを伝えられた甘奈は「負けるのが怖い」と思いだす。

 

負けるのが怖い。

甘奈はこれまで、「何かを失う」ことを極端に恐れていた。

感謝祭コミュで「このままハッピーエンドが続いてくれるのか」=「アルストロメリアが何も変わらないままでいてくれるか」を恐れたように。

今回も、千雪に負けることで「千雪に対しての感情」が変わってしまうことを恐れたのだと思われる。

 

実は結論から言うと、この問題の本質は最後まで何も解決していない。

今回、千雪は「オーディションを受けることで自分の嫉妬を解消」しようと、甜花は「自分の代わりに会場へオーディション対策の先生を送ることで、甘奈が実力で合格したことを証明」しようとした。

それに対して甘奈は今回悩みこそしたものの、結果として何かが変わったわけではない。周りが変わったのである。

 

おそらく、今後もこの甘奈の逃げ癖はアルストロメリアにひっついて回る。ここをどう解消するのかが今後楽しみである。

 

 

 

出来レースやズルのようなものを「悪」とするなら、従来のアイマスでは「悪によって生まれた逆境をどう跳ね返すか」「勧善懲悪」といった流れが多い中、今回のシナリオでは「自分が『悪』側である」という非常に面白い導入だった。

そして、プロデューサーが「出来レースをやめてほしい」と頼みに行った時も、「出来レースは取りやめたけど結局甘奈は実力でグランプリ、千雪も特別賞で二人仲良くおしまい」なんてゆるゆるなハッピーエンドにはならないところも、リアルさを追求していて非常に楽しいシナリオであった。

 

やはりシャニマスなんだよなぁ…

 

 

 

*ちなみに、今回のシナリオタイトルはボブディランのパロディ。夏の合同イベントでもボブディランが大量発生していたので、シナリオライターにおそらくファンがいる