浅倉透が、わからない。
わからない...わからなすぎる...
シャニマス特有の演出で、さもわかったかのように錯覚してしまったのだが、感想を書こうとすると雲をつかむような手応えのなさしか残っていなかった。
仕方がないので仕事をしていた5時間の間でひねり出した感想を書いていこうと思う。
浅倉透の異質感
コミュ全体を通してギャルゲーのような雰囲気が漂っていたWINGシナリオ。
実際Twitterでも「00~10年代のギャルゲーみたい」と言う感想がちらほらあった。
シナリオの内容としては、Pと浅倉の距離感の変化が密に書かれており非常に満足ではあった。
しかし、描かれていたのは「浅倉透という女の子」の側面であり、アイドルとしての浅倉透がどのようになりたいのかという展望は全く見えてこなかった。
しかも、その「浅倉透という女の子」というのも、ユーザーの中にある「00~10年代のギャルゲー」の文脈を浅倉透に重ねて勝手に納得しているだけではないか?とすら感じてしまい、実のところつかみ所のないアイドルだった。
これは本当にWING編のシナリオなのか?と今までと全く違う切り口は斬新ながら次を期待してしまうものであった。
垣間見える彼女の過ごす環境
以前の記事では彼女のことを「私のやべー奴センサーがビンビンなった子。」と評したが、これは半分あたりで半分外れだった。
ヤベー奴、というのはアイドルを評するものとしてはどうかと思うが、端的に言えば「芹沢あさひのような子」という意味で用いた。
しかし、結論から言えば「芹沢あさひとは逆ベクトルの恐ろしい子」であったと感じる。
彼女の特徴の一つとして「感情表現が非常に乏しい」ことがあげられる。
うれしくはなるし、ショックも感じる。
しかしそれは「言葉として」彼女は表しており、表情や雰囲気と言ったものにこれといった変化は見られなかった。
また、Pが胸を触った時に「...言葉で言って なんか、言いたいんだったら」と反応している。
おそらく彼女は、自分の感情の機微にあまり興味がない。
「旅に出ます」と書いたことに対して「何でも書けって言うから。そんなの誰も気にしないでしょ」と返すあたりが一番彼女をよく表していると思う。
ノクチルの指す「透明」というのは「無垢」とか「純粋」といったポジティブな意味でとらえていたが、浅倉透の「透明」は「虚無」が一番しっくりくると思う
感情ではなく言葉が行動をコントロール(?)している浅倉透は、感情に基づいて動いている芹沢あさひとは対照的な存在であると現時点では言える。
「アイドルって学校と変わんないね」
テレビ局で知らない芸能人が次々と透に挨拶をしてきた場面での透の一言。
おそらく学校でもいろんな男子、女子に挨拶をされているであろうことが窺える。
彼女持ち前のカリスマ性で、何もしなくても人が寄ってくることは、ノクチルの他の三人の様子からもよくわかる。
それによって、「感情を表さなくても向こうからリアクションしてくれる」というある意味最悪の環境ができあがり、結果として彼女は受動的、というより「あ、うん」といった要領を得ないまま過ごしてきたのだと考えられる。
彼女にとってのP
そんな彼女は、実はPと一度幼い頃に会っていたことが判明する。
「ジャングルジムがやりたくなったら来なよ」
この一言がどうも透の記憶に強く残っている様子である。
これは推測になるが、「いままで受動的に生きてきた(そしてそれが許されてきた)彼女が『自分のしたいこと』へと導かれる」というのは彼女にとってかなり新鮮だったのではないかと思う。
そして時が経ち、アイドルの道へと導いてきたPがその思い出の相手だったというのが判明したとき、「もしかしたら」という感情が芽生えたのではないか。
「透明」=「虚無」で人生長く感じていた彼女は、アイドルとして、ノクチルとして「蒼」に染まることで人としても成長していくのだろう。
WING編は序章にすぎず、今後SSRのコミュなどを経て「アイドルとしての透」が展開されていくことを期待している。